
USER'S VOICE新宿三丁目 / Bar Bruder / 菅野 仁利さん × BIRDY. カクテルシェーカー ![]()
理工系の専門知識を有するからこそ心奪われた、 流体力学の理にかなった、ミニマルな造形に魅了されて。ふとした縁で出合ったBirdy。まだ試作段階だったにも関わらず、工学的理論に裏打ちされたその内部構造を一目見た瞬間、ピンときました。そもそも私は理工系の出身で、大学院では工業化学を専門にしていました。主な研究対象は流体、つまり気体と液体ですね。そんな経歴もあって「カクテルとは空気と液体、そして氷のセッションである」というのが私の持論です。かねてからシェーカーの余計なストレス要素を削ぎ落としていけばシェイキングはさらに滑らかになり、カクテルのバランスはよりよくなるはずだ、そんな風に考えていましたから、この出合いは必然だったのかもしれません。 Birdyを手に取った瞬間、「自分が求めていたシェーカーはこれだ!」という閃きのようなものが胸に響きました。ふくらみのある輪郭は内部に空気をたっぷりと抱え込み、微細な気泡を液体の中に生じさせる。余計なくびれのないシンプルな造りも新鮮で、ストレーナーがすーっとはまる使用感も心地よかった。実際に振ってみると、中の液体がストレスから解放されて美しい弧を描くさまが感じられます。さあ、一体どんな仕上がりになるんだろうと期待に胸を膨らませたことを覚えています。私の手には少し大きすぎるかとも思いましたが、大きな卵を持つかのように手のひらをふっくら丸めると、意外にもしっくりとなじみました。 ![]() ![]() Birdy.カクテルの表現力を深化させる「遊び道具」はじめて作ったのはグラスホッパー。しっかりとしたコクが欲しいからいつも重めの生クリームを使っていますが、それでもBirdyを使えばまるでスフレのような、ふんわりと軽い風味に仕立てられる。自分のなかで理想のグラスホッパーを具現化することができました。コク、そして軽やかさ。今まで相反すると思われていたものを軽々と両立させられたのは、技術力と斬新な発想の賜物と言えるでしょう。 私自身はクラシックこそカクテルの真髄と考えています。矛盾するようですが、クラシックという自らのクリエイションの本質を極めるためには、時代に則した新しい道具や手法を積極的に取り入れていきたいという気持ちもある。とすれば、このシェーカーは私のなかで「ネオクラシック」の位置づけにあるのかもしれません。 自分にとってBirdyは最高のおもちゃ。手にしただけでわくわくする、遊び方が想像力を刺激してくれる。つまり自分なりの遊び心を花開かせてくれ、表現の幅を広げてくれるものなんです。そう言うと誰でも簡単に扱えると思いきや、表現の幅を広げてくれる道具だからこそ、バーテンダーにはより高いスキルとプレゼンテーション力が求められる。だから使い甲斐があるし、その使い方に奥深さを感じさせてくれるのでしょう。 (2013年12月) Pick Up Cocktailウィスキーの水割りいつもの水割りもBirdyのシェイクを加えれば、まるで別のカクテルに変貌します。ここでは特級時代のバランタイン・ゴールドシールを使いましたが、<響>など現行のボトルでもかまいません。レシピは水とウイスキーだけ、それなのに微細な気泡がウイスキーの個性や香りをぐっと引き立ててくれるのです。新感覚でいただくBirdy版ウイスキーの水割り、まずはお好みの銘柄でお試しください。
![]() ![]() 菅野 仁利さん「Bar Bruder」オーナーにして理工系大学院出身という異色の経歴を持つバーテンダー。新宿「RIT BAR」を経て2009年「Bar Bruder」をオープン。店名の「Bruder」とはベートーヴェン作曲交響曲第九番、通称「歓喜」の合唱曲に登場する「ブリューダー」(ドイツ語で「同士」の意)に由来する。カクテルを通して、ここに集う全ての人々が「同士」でいられるような寛げる空間を目指す。 ![]() Bar Bruder
東京都新宿区新宿3-7-7 十字屋ビル3階 |