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5人のバーテンダーが取り組む、
BIRDY.TABLE DC700デキャンタ×カクテルの可能性<後編>

 全3回でお送りするBIRDY. TABLE DC700デキャンタの検証ワークショップ・レポート。Birdyデキャンタのファンを自認するトップバーテンダー5名がそれぞれのスタイルを駆使して、バーにおけるスワリングの可能性を探る試みです。最終回では大渕修一さん、三和隆介さん(Mixology Laboratory)が登場。大渕さんはコーヒー、三和さんはコーラと、全く異なる副材料を用いて新しいカクテルを披露してくれました。早速、二人のプレゼンテーションの模様をお届けしましょう。

右に回すか、左に回すか。それぞれに相性のいいコーヒーカクテルがある

 コーヒーカクテルの第一人者である大渕さんは、今回のワークショップでもコーヒーをベースにしたカクテルを振舞ってくれました。まずはフレンチプレスでシンプルに抽出したコーヒーと、Birdyデキャンタでスワリングした同じコーヒーの味わいの変化を体感します。
「バリスタ5人で事前に検証したのですが、軽めの焙煎で仕上げた、フローラルかつフルーティな特徴を持つスペシャルティコーヒーが、最もスワリングの効果を得られるという結果に。そこで今回は、ベリーやチョコレートのニュアンスを感じさせるエチオピア産のエルガチェフ・ナチュラルをセレクトしました」

右回しではコーヒーの持っている特徴の中の甘さやフルーティな香りが際立ち、コーヒーの香りや味わい、コクに一体感が生まれました。一方、左回しではコーヒーの酸味が前に出てくるといいます。
「バリスタの間では右回しが好評でしたが、右回しと左回しで全く異なるコーヒーカクテルが作れると思います。右の場合はアイリッシュコーヒーのように素材を馴染ませたいカクテルが向いていますし、左回しはエスプレッソ・ダイキリやギムレットのような、酸の特性やビター感を強調したいカクテルのベースに使うのがいいでしょう」

 早速、スワリングなし・右回し・左回しと、3種のコーヒーを飲み比べます。大渕さんはデキャンタをわずかに傾け、優しくゆするようにスワリング。だんだんと開いてくるコーヒーの香りを確認しながら行います。
三和「同じコーヒーと思えないくらい、印象が変わりますね」
大渕「成分の変化も調べてみたのですが、化学的な変化は何も起こってない。エアレーションということだと思うのですが、この変化のプロセスについてはもう少し科学的にリサーチしてみたいですね」

 他のバーテンダーからの要望もあり、「酸の特性を強調した甘みのあるカクテルを検証しよう」ということで、コールドブリュー・コーヒー・ジントニックをメイキングします。
野村「右回しと左回し、甲乙つけ難いかな。ダイキリに使ってみても面白そう」
三和「左回しは余韻が長く感じる」
南木「個人的には右回しが好み。左は確かに余韻が長いけれど、長すぎるような……」

 大渕さんの使用歴は約1年。「今回のワークショップで他のバーテンダーの視点やアプローチを見聞きして、新たな発想が湧いた」といいます。
「今回は単純に右回しと左回しを比べましたが、回すスピードや回数、右回しと左回しの組み合わせ、スワリングのタイミングなど、ここから一歩踏み込んだテーマを設けて検証し、限りあるアクションの中でベストのタイミングや回数を探ってみたいですね」

自家製ビターズと、シロップ代わりに用いるコーラ。素材の多さがキーになる

最後に登場する三和さんが検証するのは、バーボンコーラです。 「このデキャンタを1年半ほど使用してみてわかったことが、シンプルなカクテルで、かつ、多くの材料を使った素材を使うと、右回し・左回しの違いがより際立ってくるということでした。また、ベーススピリッツもいくつか試してみましたが、樽で熟成をかけているものの方がスワリングの手応えを感じられるように思いました」

 そこで三和さんが副素材に選んだのが、素材の数が多いコーラ。さらにバニラやオレンジを用いた自家製ビターズを加えることでスパイスの要素を増やし、多くの素材が醸す複雑な味わいの変化を、右回し・左回しで検証します。

「このバーボンコーラの場合、自家製ビターズに加えたバニラとオレンジのエッセンスが、バーボンとコーラのつなぎ役になっています。バーボンコーラだけでなくラムコークでも手応えを感じました。コーラを使ったもの以外で可能性を感じたのは、多くの素材を使うジン・ベースで、かつビルドで作るネグローニのようなカクテル。これにスワリングというアクションを加えると面白い効果が生まれましたね」
 実際にテイスティングしてみたところ、5人のバーテンダーの意見は「右回は素材の個性の一体感が醸し出され、飲み口がマイルドに。左回しはアルコール感がたち、パンチの効いたアフターテイストを楽しめる」というものに落ち着きました。

野村「レッドブルもオーガニックのタイプを出しているから、そういうものでトライしてみてもいいかもしれない」
永野「ウイスキー系は、時間の経過によっても味わいに変化が生まれますね」
野村「今回の検証で思ったのは、糖を使ったドリンクの方が、変化がわかりやすいということ。コーラというアイデアも面白い」
南木「バーでコーラを使うことはあまりないですが、複合シロップとして使うというアイデアが秀逸ですね」

「同じカクテルでも右回りならアルコールが苦手という人にお勧めできるし、左回りはパンチの効いたカクテル好きや葉巻を吸う方に提供できる。同じカクテルでもレシピを変えず、シーンや用途によって味わいを変化させられるというのは、バーにおいて非常に大きなメリットになりますね」

撮影協力:TRUNK (HOTEL)

(レシピ)
エスプレッソトニック

ジン・・・30ml
コーヒー(フレンチプレスで抽出)・・・50ml
レモンジュース・・・1ts
シュガーシロップ・・・1ts
トニック・・・適量

1. トニック以外の材料をデキャンタに注ぎ、20回程度スワリング。
2. 1をグラスに注ぎ、トニックでアップ。


バーボンコーラ

バーボン・・・30ml
ビターズ・・・1ts
コーラ・・・90ml

1. 全ての材料をDC700デキャンタに注ぎ、20回ほどスワリングする。


プロフィール

大渕修一

都内のバーおよびイタリアン・スタイルのカフェで、バーテンダー&バリスタ修業を行う。「Mixology Bar SOURCE 2102」、デザートバー「JANICE WANG」を経て、現在はフリーのバーテンダーに。コーヒーカクテルの完成度を競う「ワールド コーヒー イン グッド スピリッツ チャンピオンシップ」において、2度の日本チャンピオンに輝いた。

プロフィール

三和隆介

2004年、ロマンチカ洋酒店を立ち上げる。「ないものを作る」を信条に、17年にわたってバーテンダーとして活躍。昨年より「Mixology Laboratory」のカウンターで腕を振るっている。

プロフィール

Mixology Laboratory

東京都中央区八重洲1-6-1 八重洲第三パークビル 3F
アクセス:東京駅八重洲北口より徒歩1分、銀座線日本橋駅より徒歩3分
TEL:050-5590-8823
営業時間:18:00〜翌 1:00
定休日:日、祝
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