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西新宿 / Bar BenFiddich / 鹿山 博康さん × BIRDY. ミキシングティン

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進取の気性を忘れずに、新しいものにチャレンジし続けたい

水も空気も加えないのに、「一体感」が醸し出される不思議

 発売前に「新しいコンセプトのシェーカー&ミキシングティンが発売される」という噂を聞いていたので、11月に開催されたBirdyの展示即売会に足を運んでみようと思っていました。結局、事情があって会場には行けなかったのですが、その日の晩に開発者が偶然、うちの店に飲みにいらして。開発までのストーリーや製品にこめられたこだわりを聞いたことで、使ってみたいという気持ちはますます強くなりました。

 現在はシェーカーもミキシングティンもBirdyを使っています。ミキシングティンは今まで使っていたガラス製のものと明らかに外見が異なるので、違和感を感じたことも事実。しかし実際に使ってみたら、その違和感は感動に変わりました。

 たとえば「スティンガー」。本来はシェイクで作りますが、あらかじめ凍らせておいたミキシングティンを使い、あえてステアで作ってみました。氷も接地面の面積をミニマムにすべく、ミキシングティンの形状に合わせて削ります。Birdyのミキシングティンはもともと氷が溶けにくいという性質を持つので、こうして作った場合、「スティンガー」には水も空気もほとんど含まれない。ブランデーとミントリキュールだけなのに、なぜか抜群の一体感が生まれる。

カクテルにおいて水は、つなぎとして重要な役割を果たしています。つなぎであるはずの水を含まないのに、どうしてこんな結果になったのか。いまだその原理を解明できないからこそ、当初の違和感が感動へと変わったのでしょう。

Birdy.とともに目指すのは、「明後日の向こう側」

 いろいろ試してみて、マティーニやマンハッタン、スティンガーなど2種類の素材を用いるカクテルを加水せずに作る際、どうやら威力を発揮するらしいということもわかってきました。それぞれの素材が互いを引き立て合う、それが一体感を感じさせる理由でしょう。

 僕はお酒にまつわる古い文献を読みあさるのが趣味で、昔のレシピを再現するということを日々行っています。新しいものを積極的にとりいれて、人が思いつかないことをやってみたい。道具もレシピもあらゆるものに疑問を持ち続け、それらに答えを出すことで少しずつ自分のものにしていきたい。

 そんな僕のバーテンディングに対するアプローチ方法とBirdyのコンセプトにはどこか相通じるものを感じています。目指すのは、いうなれば「明後日の向こう側」。僕が目指すその世界に、Birdyはうまくフィットしてくれると思っています。「Bar BenFiddich」はまだオープンして半年。この店とBirdyで、新しい物語を紡いでいきたいですね。

(2014年2月)

Pick Up Cocktail

スティンガー

本来はシェイクで作るカクテルですが、あえてミキシングティンを用いてステアで作りました。氷が溶けないよう、ミキシングティンはあらかじめ凍らせておきます。素材の味が際立つので、ブランデーは熟成感のあるものがおすすめ。ブランデーの濃厚な味わいと爽やかなミントのマッチングをストレートに楽しめます。

Recipe
  • ブランデー・・・45ml
  • ミントリキュール・・・15ml

  • 1. あらかじめ凍らせておいたミキシングティンに材料を入れる。
    2. 1 をよくステアする。


鹿山 博康さん

20歳のときにバーテンダーを志す。ホテルのバー、西麻布「Amber」を経て2013年7月に独立、「Bar BenFiddich」をオープン。「ディアジオ ワールドクラス2012 ジャパンファイナル」ファイナリスト。スパイスやハーブに精通しており、希少な種を自家菜園で育てるなど「Farm to Bar」の活動を積極的に行っている。


Bar BenFiddich

東京都新宿区西新宿1-13-7 大和家ビル9F
アクセス:JR新宿駅より徒歩約5分
TEL:03-6270-4223
営業時間:月-土17:00-翌3:00
定休日:日、祝(祝日は時々開けているので要TEL)
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